加西中学校1年生の安永百花さんが、「着色料は取り出せる!? ~天然と合成の違い~」を自由研究として取り上げました。

実験 その1

研究動機・目的

普段食べている多くの食品に含まれている「添加物」の中で身近でわかりやすいのは、「着色料」です。

着色料の役割

  • 消費者の目を引くためにおいしそうに見せること
  • 加工段階で色が変わってしまった食品の本来の色を取り戻すこと


いつも何気なく体に取り入れている添加物が、名前は知っていてもなんのために使われているのか詳しく知りませんでした。
今までなんとなく危ないと言われてきたから避けてきましたが、少し調べただけでわからない情報が多く、気になりました。

食事で体に入れるものならどんなものなのか知っておくことも大切だと思い今回は、着色料について研究することにしました。

着色料の種類

  • 天然:自然で取れるものから作る着色料
  • 合成:色素でないものから合成して作る着色料

そこで、実験 1 では、食品の着色料で毛糸を染め、洗ったときに色がとれるかとれないかで天然と合成を区別するという実験を行います。

実験器具・道具

  • 調べたい飲み物やお菓子:
    ゼリービンズ緑、スルメのお菓子、紅しょうが、グレープ味の炭酸飲料、焼肉のタレ
  • 穀物酢(酢)
  • 羊の毛糸
  • 計量カップ
  • デシタルはかり
自由研究「着色料」
実験器具・道具

添加物とは…

食品を長持ちさせるためや、見た目、食感などを良くするために用いられる調味料・保存料・着色料などをまとめたもので、主に次のような役割のものがあります。

  • 食品を製造または加工時に必要なもの
  • 食品の形を作ったり、独特の食感を持たせたりするために必要なもの
  • 色でおいしさを演出するために必要なもの
  • 味と香りを良くするために必要なもの
  • 食品の品質を保つために必要なもの

実験方法

石油を原料とした合成着色料の多くは、タール色素が主な成分で、酸性になるとタンパク質にくっつくという性質を持っています。
そのため、食品と水に酢(酸性)に白い毛糸(タンパク質)を入れると色がつく仕組みになっています。

  • 調べたいものを小さく切る
    漬物やお菓子を小さく切り、容器に入れ約 5 倍の水を加える。
  • ①の容器にスプーン1杯の「酢」を入れる
  • 白い毛糸を入れ、約 20 分〜30 分加熱する
    ※毛糸は使う前にせっけんで洗っておく
    ※鍋に 3 センチほど水をはり、容器を入れて毛糸に色がつくまで加熱する
  • 容器から毛糸を取り出し、水でよく洗う

実験を行うときのポイント

  • 毛糸は、羊の毛で作られたものを選ぶ
    • 普通の毛糸や、タコ糸などでも試したが、羊の毛は、特に色がよく着色したため実験に最適だとわかった。
  • 毛糸は、使う前に洗っておく
    • 使う前に洗っておくことでより色を着色させやすくなる
  • 加熱するときには、鍋に 3 センチ水をはる
    • しっかり水をはらないと実験がうまく行かなかったこともある
    • 温度は、沸騰する手前ぐらいをキープ

実験結果

グレープ味の炭酸飲料 (着色料: カラメル・アントシアニン)

令和5年自由研究「着色料」

<左>フライパンから取り出したとき

  • 少し茶色に染まった。ジュースの色にしては、思っていたよりも染まらなかった。

<右>洗ったあと

  • 少し洗っただけですぐに落とすことができた。着色料はどちらも天然だからすぐに落ちたのだろう。

するめのお菓子( 着色料: カラメル・黄色 4 号・赤色 102 号)

令和5年自由研究「着色料」

<左>フライパンから取り出したとき

  • お菓子の赤色には、ならなかったけど、赤みがかったこい茶色に染まった。

<右>洗ったあと

  • 少し薄くなったようにも感じたが、しっかり色はついたままでどんなに洗っても落ちなかった。

赤色 102 号や黄色 4 号ってなんだろう?

食用タール色素という合成着色料の一種です。いずれも色が鮮明で、均一な色の食品が作れるのが特徴です。

食品添加物として使用されているタール色素は 12 種類あります。
赤◯号などの多くのタール色素に発がん性が発見され、あまりいいイメージがありません。これだけでは、とても危ないのではないかと思ってしまいます。

しかし、体に良いものも取りすぎると良くないと言われるように、正しい量を取っていればなんの問題もないことがわかりました。それでも控えようと思ったのなら、日頃から少し意識してみてもいいかもしれませんね。

焼肉のタレ (着色料 :カラメル色素)

令和5年自由研究「着色料」

<左>フライパンから取り出したとき

  • いかにもカラメル色素が入っていると表示ではわかるぐらい、茶色になった。

<右>洗ったあと

  • 驚くほど真っ白になった。 カラメル色素となっていたが、色が取れたためこれは、カラメルだということがわかった。

まだ知らない!?着色料のこと

「カラメル」と「カラメル色素」はまったくの別物!

茶色の加工食品には、入っていることが多いカラメル色素。
名前にはカラメルとついているものの、砂糖を焦がして作るカラメルとは違い、デンプンや糖蜜に酸やアルカリを加え加熱処理したものがカラメル色素です。しかし「カラメル」と表示されていてもカラメル色素の場合もあり、表示上の違いはありません。

表示だけで判断するのは難しそうですね。
カラメルは、着色料の中でも最も使用総量が多く、着色以外にもカラメルの特性が利用されています。

紅しょうが( 着色料 :野菜色素)

令和5年自由研究「着色料」

<左>フライパンから取り出したとき

  • ほんのりピンク色に染まった。紅しょうがは、真っ赤だったのが色が抜けて白っぽくなった。

<右>洗ったあと

  • 水ですぐに落とすことができた。最初の毛糸の色に戻った。

ゼリービンズ (着色料: 赤キャベツ・黄色 4 号・赤色 40 号・黄色 5 号・青色 1 号)

令和5年自由研究「着色料」

<左>プライパンから取り出したとき

  • 今までで一番濃く染まった。カラフルだったお菓子は、色が抜けて透明になった。
令和5年自由研究「着色料」

<右>洗ったあと

  • まったく取れなかった。石鹸でも洗ってみたものの全然色は落ちなかった。

考察

合成着色料は、水で洗ってもなかなか取れなかったので、体の中に入ってもこのままなのではないかと思いました。

合成着色料には緑◯号などない色もあったので、ない色は混ぜて作っているのではないかと思いました。

実験 その2

目的

インターネットで調べて、取りすぎなければ、健康に問題はないとかかれていたものの、やっぱり気になってしまうので、合成着色料を使わずにきれいな色を出せないのか調べてみたくなりました。

ネットでも添加物を気にしている人は少なくなく、レシピはすぐに見つかりました。
今回は、特にきれいだと感じた人参ゼリーで試してみようと思います。

実験器具・道具

  • にんじん 240g
  • 砂糖 60g
  • 粉寒天 1 袋
  • 水 240cc
  • オレンジジュース(100%)
  • ミキサー
  • 計量カップ
  • デジタルはかり
  • まな板と包丁
  • 流し込むための容器(型)
令和5年自由研究「着色料」
実験器具・道具

実験方法

  • 人参を2センチ幅程度に切って、柔らかく茹でる
  • オレンジジュースは軽く温めておく
  • 茹でた人参の湯を切り、ミキサーにかけピューレ状にするか、裏ごしする
    ※ミキサーが回りにくい時は、温めておいたオレンジジュースを少量加える
  • 鍋に粉寒天、水、砂糖を入れてよく溶かし、火にかけて沸騰させ、弱火にして約1分 煮る
  • 4に3の人参を加えてよく混ぜ、火を止める
  • 残りのオレンジジュースを加えてよく混ぜる
  • 型を軽くぬらし、6を流し入れて、粗熱をとって冷蔵庫で冷やし固める
  • 固まったら型から取り出し、適当に切り分ける
令和5年自由研究「着色料」
実験の様子

実験結果

オレンジジュースも使ったが、人参ならではの濃いオレンジ色のゼリーを作ることができた。

合成着色料を使わずに作ったため、手間はかかったが、合成に負けない鮮やかなオレンジ色に着色することができた。

令和5年自由研究「着色料」
無添加の人参ゼリー

考察

実験 2 を通して、合成着色料を使わずに自然のものだけで食品に着色するのは難しく、手間も時間も費用もかかるため、合成着色料が使われているのではないかと思いました。まとめ

まとめ(実験その1・その2)

  • 合成着色料を使用しているものは、毛糸に色がついたままで洗っても取れない
  • 着色料は、「合成」だから危険で、「天然」だから安全と決めつけることはできない
  • 天然のものだけで着色するのは、非常に難しく、手間がかかってしまう
  • 合成着色料などの危ないと言われているものも、過剰に取りすぎなかったり、正しい量で使われていれば、健康に特に問題はない
  • 着色料などの添加物は、わたしたちの食生活を豊かにするために作り出された

研究の感想

今回の自由研究の実験では、何度も失敗して思ったような結果にたどり着くのが大変でした。諦めずに実験を続けて成功したときは、とても嬉しかったです。

実験を成功させるために情報を調べ直したり、いろいろな方法で試したことで、着色料についてより深く知ることができてよかったと思います。実験で色が落ちないのを見たときは、体の中でもこのままなのかと怖くなりましたが、調べると取りすぎなければ問題ないと書かれていて安心しました。

それでも今回の研究を活かして、食品を買うときには少し気をつけてみていきたいです。

実験 2 では、天然のもので着色するのはこんなにも難しいのかと驚きました。
この研究をするまでは、なぜ添加物なんか入れるのかと不思議に思っていましたが、初めて理解しました。
これから添加物が改良されて、もっと安心できる食品が増えたらいいなと思います。

作成資料

【参考文献】