賀茂小学校の5年生・6年生がSTEAM教育の一環として、STEAMプログラム「曼荼羅アーティストになろう」を受講しました。
「曼荼羅アート」という思考ツールを体験し、自己理解を深めることと、思考を深めたり広げたりする能力を身につけることを目的としたSTEAMプログラムです。
日程
- 日時:令和7年7月9日(水)
- 講師:株式会社ジオグリフ 田畑 豊史
活動の様子
- 目標:目標を設定する際のツールを身に付けること
- 希望理由:
- 今後、目標を決めるときのツールにしてほしいと考えたため
- 高学年のうちに自己理解を深めてほしいと思ったため


担任教師へのアンケート
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今回のプログラムの中に、子どもたちの成長の変化を促す、学級経営に活かせそうな仕掛けがありましたか?
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子どもたちの成長の変化を促す仕掛けがあった
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それはどのようなことですか?
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自分を見つめる方法を新たに知ることができた
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今後の学級経営の中で、どのように利用しようと考えていますか?
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「めあて」設定の際に利用できそう
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この仕掛けを利用することで、子どもたちにどんな変化があると期待できますか?
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「自分」というものについて、より深く考えようとする姿
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今回利用したプログラムを、ほかの先生方にどの程度おすすめできるか教えてください。
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ほかの先生にも勧める
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今回利用したプログラムは、クラスがどのような状況にあるときにおすすめしたいですか?
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- 成長が停滞しているとき
- 目標を設定する必要があるとき
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今回利用したプログラムの中で、今後も活かせそうなものはありましたか?
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今後も活かせそうなものがあった
教育企画専門員からのコメント
本授業の良さ
今回の授業には、多くの良い点が見られました。
- 明確な目的設定
- 「正しさより考えることを大切にしよう!」「考えることの苦しさを体験しよう!」「人と違うことを楽しもう!」という3つのマインドセットが明確に提示されており、児童が何のためにこの活動を行うのか理解しやすかったと考えられます。
- 実践的な思考ツールの導入
- マンダラアートやソクラテス問答といった具体的な思考ツールを導入し、児童が実際に手を動かし、言葉を発しながら思考を深める機会を提供しています。これは、抽象的な「考える力」を具体的な方法で育む上で非常に有効です。
- 自己理解と目標設定への繋がり
- 「自分マンダラ」「憧れマンダラ」「来年3月の自分」という段階を踏むことで、児童が自己と向き合い、未来の目標を具体的に描くプロセスを支援しています。
- 対話を通じた思考の深化
- ソクラテス問答の導入は、単なる個人作業に留まらず、他者との対話を通じて自分の考えを客観視し、新たな視点やアイデアを発見する機会を提供しました。「相手の質問で新しいアイデアが膨らんだ」という児童の感想からもその効果が伺えます。
- 「考えること」の重要性の強調
- 講師は「問題には答えがあるが、問答はさまざまな角度から考えていくもの」と説明し、「正しいことよりも考えること」を大切にする姿勢を伝えています。これは、単に正解を導き出すだけでなく、思考のプロセス自体を重視する学びの態度を育む上で重要です。
- 実生活への応用可能性の提示
- マンダラアートが委員会の活動や自己分析に役立つこと、ソクラテス問答が読書感想文作成にも応用できることなど、学んだツールがほかの場面でも活用できることを示唆しており、学びの汎用性を高めています。
- 歴史的背景と概念の導入
- マンダラやソクラテスといった概念の歴史的・哲学的背景に触れることで、児童の知的好奇心を刺激し、深い学びへと繋がる可能性があります。
授業の改善点
一方で、今後の授業改善に繋がりそうな点もいくつか見受けられます。
- 時間の制約
- 授業の目標が多く、複数のワークシートや活動内容も多岐にわたるため、時間配分が厳しくなっていたようです。特に最後のマルチマンダラの活動は時間が足りず、ほかの時間に回すことになりました。時間短縮の工夫が必要です。
- 思考の引き出し方の課題
- 一部の児童からは、「やりたいことが全然思い浮かばない」「考えるのがめちゃくちゃ難しかった」という声が聞かれました。これは、自己分析やアイデア出しに不慣れな児童にとって、活動のハードルが高い可能性があることを示唆しています。
- ソクラテス問答の難易度
- 質問する側、される側双方で「質問するのが難しかった」という声がありました。特に、単に情報を引き出すだけでなく、「なぜ」「どうして」と深掘りする質問は、慣れていないと難しいものです。モデルで実演したあとの児童の活動の質が一気に高まりました。
- マスの埋め方に関する戸惑い
- マンダラのマスをすべて埋めるべきか、一部だけでも良いのか、児童が戸惑う場面がありました。思考の深掘りが目的であるため、「すべて埋めなくても良い」というメッセージはありましたが、初期段階でより明確に伝えると良いかもしれません。後追いの発問が多いのは気になりました。
講師所感
正しい答えを出すことよりも、良質な問いを作ることの難しさ、そして良質な問いが思考を深めるということを実感できるプログラムとなった。